不動産を売却する際、売主にとって「いくらで売却できるのか?」はもっとも気になるところです。
売却の第1歩として「売り出し価格」を決めますが、市場相場からかけ離れた高い価格ではなかなか売れません。
そこで、適正な価格を決めるために「査定価格」が必要になります。
納得できる不動産売却をするために必要な「査定価格」と「売り出し価格」について解説します。
査定価格とは?査定なしで売り出し価格を決められる?
不動産を売却する場合、まず査定価格の算定を不動産仲介会社に依頼します。
査定価格とは、「3ヵ月程度で成約に至ると想定される価格」をいい、不動産仲介会社が持つデータや周辺の取引事例などを踏まえて算出する、取引の目安となる価格です。
提示された査定価格がそのまま売り出し価格になるのではなく、それをベースに売り出し価格を決定します。
売却金で新しい物件を購入するなど 期限がある場合、売却スケジュールに合わせて進めなければならないので、売り出し価格は大きなポイント。
できるだけ高く、しかも売れやすい額で決めていきましょう。
できるだけ高く売りたい!売り出し価格の決め方とは?
売り出し価格の決め方としては、提示された査定価格をベースに、「売却希望価格(希望する上限値)」と「売却可能価格(売却してもよいと判断できる下限値)」を踏まえて決定する流れとなります。
売却希望価格はできる限り高くしたいところですが、査定価格と大きくかけ離れた価格になると売却が成立しにくくなるので、査定価格の算定根拠や理由を納得できるまで確認してみましょう。
また 売却可能価格は、この売却価格以下になると売却する意味がなくなってしまう「売却価格の下限値」でもあります。
売却予定の不動産に住宅ローンなどの借入れがある場合は、ローンの残金や売却にかかる諸費用などを加味して想定しましょう。
計算式であらわすとこのようになります。
売り出し価格 > ローンの残高 + 買い替え先の頭金 + 売却費用
例えば、ローンの残債が2,000万円あり、買い換え先の頭金として500万円、売却時の諸経費として200万円の費用がかかる場合、最低でも2,700万円で売却する必要があります。
売却期限の有無が売り出し価格に影響する
新しい住まいをこれから探す場合や空き家などを売却する場合など、売却に期限がなければ、「売却希望価格」を「売り出し価格」として設定し、その価格で購入してくれる希望者をゆっくり待つこともできます。
売却開始後も物件への問合せ状況や購入検討者の状況をじっくりみながら、段階的に売り出し価格を下げていくことにより、売却希望価格に近い価格で取引が成立する可能性も高まります。
一方、買い換えで購入する物件が先に決まっている場合や相続税の納付期限が決まっている場合などは、できるだけ早く不動産を売却して現金化する必要があります。
そのような場合は、提示された「査定価格」を「売り出し価格」として設定し、物件への問合せ状況などをみながら、段階的に価格を下げていくことで、期限までに間に合わせることができるでしょう。
また売買契約が成立したとしても契約当日に代金の全額が入金されるわけではないので、期限のある売却の場合は注意しましょう。
通常、不動産売買契約締結して数ヶ月後に残金決済と不動産の引渡しが行われるので、残金決済まで踏まえた売却スケジュールを立てることが必要となります。
このように、売却期間の長短によっても「売り出し価格」を調整するタイミングが変わるので、売却戦略については不動産仲介会社とよく相談してください。